代表理事挨拶 日本在宅医学会と日本在宅医療学会は2019年5月に合併し日本在宅医療連合学会となりました

代表理事挨拶

代表理事挨拶

約3年にわたる話合いを経て、日本在宅医療学会と日本在宅医学会は新しい年号(令和)が始まった時に合同し、「日本在宅医療連合学会」として生まれ変わりました。

母体となる両学会は在宅医療の学術研究および実践で長い歴史を持ち、いわば「病院の世紀」に、日本在宅医療学会は主に病院の医療従事者が中心となり、特に医療依存度の高い在宅医療の普及を目指して活動し、日本在宅医学会は主に地域のかかりつけ医が中心となり、特に在宅医療の人材育成(専門医育成)を目指して活動していました。活動の主体は違っていましたが、その最終目標は同じで、これまでの医療が病気の治癒や延命に焦点を当てていたのに対し、人々の日常の生活(暮らし)や生き方に焦点をあてて活動していました。また、誰もが迎える死に対しても、これまでの医療では異常なものとしての対応であったのに対し、それを自然なものとして認め、地域の中で、穏やかな環境の下で尊厳ある死を迎えることを目指していたことも共通の思いでした。

日本在宅医療連合学会はこの二つの学会が取り扱ってきた課題を継続して取り扱っていくとともに、 現在、日本の地域社会が直面している新たな課題に挑戦できる力をもった学会に成長するものと私は考えています。

代表理事挨拶

新たな課題の一つは、病院と在宅との継続医療体制の構築です。旧日本在宅医療学会では、病院や地域に所属し、地域完結型のがん治療や栄養治療あるいはがん緩和ケアを実践している会員が多く、それも多職種が参画しています。一方、旧日本在宅医学会は独力で、がん、非がんに関係なく在宅医療を実践してきた医師が多いのが特徴です。医療を受ける側の視点からは、医療の継続性は当然担保されるべきであり、そのためには特に病院医療に生活の視点を組み込むことが重要と思われます。両者の立場の学会員が一緒に活動することでその戦略を立てることができると期待しています。

課題の二つ目は、在宅医療の質の向上をはかるための教育研修、調査研究体制の確立です。在宅医療の推進はすでに国の緊迫の課題であり、手厚い診療報酬となっていますが、その質はまだ担保されていません。現場で働く会員が多くなることは、現場の意見を取り入れた教育研修および調査研究を行うことが可能となり、それが在宅医療の質の担保につながります。

課題の三つ目は地域包括ケアシステム構築です。特に看取りを念頭においた在宅医療体制の構築は地域包括ケアシステムの根幹をなすものであり、医療としての課題というよりむしろ地域社会の課題であり、「まちづくり」として取り組むものです。なお、このような看取りを念頭においた在宅医療は、世界標準の緩和ケアでは「地域緩和ケア(community-based integrated palliative care)」として展開されています。

多くの課題を抱えて新学会が活動を開始します。これまで両学会の会員にくわえて、多職種の在宅医療に関わる職種および行政の方々が会員となって、全国レベルで、そして地域レベルで、一緒に活動に参加してくれることを期待したいと思います。

2019年5月
一般社団法人日本在宅医療連合学会
代表理事会長 蘆野 吉和